カントの著作は難解な感じがして未読だったのだが、どのような事が書かれているのか?とりあえず解った感じがする。西研さんの解説は解り易かった。カントが言っている事は《良知》のようなものなのかな?と思ったりした。本能や感情、欲望の通りに行動する事は、自由では無く、それらに拘束されているのでは?と前から思っていたが、この番組を観て自分の中で整理された感じがする。カントの著作を読む入り口になる感じがしている。
メモ
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- 西研さん
第1回 「近代哲学の二大難問」
- 「純粋理性」はカントの造語で人間に元々備わっている認識の力
- 人間が知り得る限界はどの辺か?
- すべての物体が因果法則で決定されているならば人間もこの法則に縛られ自由が無いのではないか?
- 「私」が認識したことは本当に客観的な世界と一致しているのか?
- イギリス経験論 人間は主観的に経験したものをゼロから積み上げなければ認識を作れない
- 大陸合理論 人間には合理的に物事の真理を捉える知識能力が先天的に備わっており、それにより認識が作られる
- カントは10年間、考え込んで書けなくなった
- 二大難問
- 物心問題
- 心は物からできているのか?それとも心は物とは違った特別な存在なのか?
- 主観客観一致の問題
- 実験・観察しているのも人間の主観でそこから作った理論も人間の主観。すると全ての知識は客観的世界そのものには一致出来ない
- 物心問題
- 物自体と現象
- コペルニクス的展開
- 我々は生まれた時からVRゴーグルをかけていて、物の本当の姿を知らないみたいな
- 客観性は「共有出来る」という意味
- 物自体は捨てて、現象の中で客観性つまり他人と共有出来る認識が作れないか?
- 共通規格
- 皆が共通にVRゴーグルをかけているので、このゴーグルの性能を調べれば「認識の客観性」が言える
- 二層構造
- 感性、悟性
- 感性、直観
- 悟性 〜は〜である 思考する力
- 感覚的な直観が捉えたものを思考する能力が悟性
- 感性と悟性が結びつく事によって認識が生まれる
第2回「科学の知は、なぜ共有できるのか」
- 人間は主観の外に出て世界を認識することは出来ない
- 主観には認識を作る際の「共通規格」が有り客観性を確保出来る
- ア・プリオリな総合判断
- 経験しなくてもわかる事がある
- 共通規格
- 因果律
- 感性 時間空間 直観
- 悟性 カテゴリー 判断
- 12のカテゴリー
- 量
- 単一性、数多性、総体性
- 質
- 実在性、否定性、制限性
- 関係
- 実体と属性、原因と結果、相互作用
- 様相
- 可能・不可能、現存性・非存在、必然性・偶然性
- どんな認識も全て「私がやっている経験」としてバラバラにならないようにまとめていく
- 純粋統覚
- 量
第3回 「宇宙は無限か、有限か」
- 理性 推論する能力
- 答えの出ない問い
- 不死なる魂はあるか?
- 宇宙は無限か?有限か?
- 神は存在するのか?
- 答えが出る問い、出ない問いがある。
- アンチノミー 対立する2つの命題が共に証明出来て、どちらが正しいのか?決着がつかない状態
- 4つのアンチノミー
- 宇宙は無限か?有限か?
- 物質の最終要素は存在するか?
- 自由の原因性はあるか?
- 無条件で必然的な存在者はいるか?
- 無限説、有限説は理性が持っている二つの関心事に由来
第4回 自由と道徳を基礎づける
- カントは究極の生き方を目指す
- 実践理性
- 「〜したいから・・・する」という因果律に束縛されて状態(自由では無い)
- 欲望に縛られずに正しい事をする(道徳的に生きる)
- 道徳的に生きるのが自由で、それが最高の生き方
- 権威や伝統が定めた正しい事を無批判に受け入れることは道徳的価値無し
- 「これは正しい事だ」と自分で選択する事は道徳的な価値があり本当の自由がある
- 「人の幸福に繋がる事か?」「自分の成長に繋がる事か?」
- 自分で自分の行為の正しさを認識して生きるところに人間の自由がある
- 叡智界
- 自由は叡智界に属している
- 物自体が存在する世界は叡智界
- 現象がある世界は現象界
- 人間の二重性。感性(欲望)と理性(道徳)
- 人間は感性と理性に引き裂かれた存在
- 「可愛そうだから親切にする」は「自分の感情を鎮める行為」
- 汝の意志の採用するルール(格律)が常に同時に普遍的立法の原理としても妥当するように行動せよ
- 難しい理屈を作りながらも「汝の隣人を愛せよ」に戻ってくる
カント『純粋理性批判』 2020年6月 (NHK100分de名著)
本ページの情報は2022年2月時点のものです。最新の配信状況はU-NEXTサイトにて ご確認ください